「死神に胃を掴まれる」。死ぬほど怖い思いをしたよ、という意味。まあ、勝手に作ったんですけど。
危険な時に胃がキューン!となったことが誰でもあるはず。あれ、何なんすかね?この日はそんな体験をしました。
今日は久しぶりの遠出。普段はクライミングのために丸一日時間が取れないので、近場で済ませる事が多いだけに、片道2時間以上かかる岩場はちょっとテンション上がる。しかもはじめての岩場。そしてパートナーはIKM氏。もう楽しみすぎる!
深夜に道の駅集合。どうせさっきまで雨降ってたし、早起きしても仕方ない。2人でビール飲んで3時近くまでクライミングの話して就寝。お互い好きだねー。
8時過ぎに起きて岩場へ。
分っちゃいたけど、とんでもなく結露!雨の湿度と岩との温度差で全岩ベタベタ。せっかく来たし、とりあえず見学だけでも。
あるわあるわ、すごくかっこいい岩がいっぱい!ここはコンディション良い時に必ず再訪しよう!
ランディングが水没しているけど、中央右の岩が一度見てみたかったハイボール。写真だとスケール感分かりにくいけど、もうとんでもなくハイボールだった。これをボルダーとして登るのってすごいなぁ。僕にも出来るんだろうか?
岩のグルーブがとても印象的。何億年もかけて自然が作り出した芸術に感服。
1時間ほど探索したけど、乾き待ちをするには時間がないので転戦することに。そちらも一度行ってみたかった岩場。正確にはエリア。この岩場自体は数年前にきたことがある。その時はアプローチゼロの川のエリアのみだった。今回は山のエリアへ。
どーん!写真で見るよりでかくてめちゃくちゃかっこいい!デカイ強傾斜のど真ん中に、用意されたかのような必要最低限のホールド。奇跡としか思えない。いつかトライしてみたかった課題だ。
アップもそこそこにとりつく。各ホールドの間隔がとにかく遠い。ただ、ホールド自体は結構ポジティブ。しかもムーブも読みやすい。これはと、密かにオンサイト狙い。
少しドキドキしながら1トライ目。やっぱりオンサイトの緊張感はいいなぁ。
スタートしていきなり遠い右手にデッド。なんとか止まった。マッチして右足を小さくスクープされたホールドにセット、そして左手デッド!あっけなく外した。ちょっと雑だったなぁ。
手の温かみが戻ったらすぐに2トライ目。今度は全てうまくいって、最後の遠い右デッド。力みすぎて右足がスリップ。これはショック!心の中では「もらったぜー!」とか思ってたもんなー。まだまだ中身も足らないね。
まあまあ遠い二手目。最新iPHONEのカメラ性能はすごいっすね。
そして問題の3トライ目。さっきの失敗が尾を引いて、少し緊張気味。案の定、どうでもいい所でフォール。その時、とっさに手をついた所に石があり、掌に怪我をしてしまった。二箇所ほど穴が空いて出血。なかなか血が止まらず、しばらく待機。
すると、集中力が切れたのか寝不足のためか、すごく眠くなってきた。早めに決めなければならないプレッシャーもあり、なんだか弱気に。一手一手がパワフルなだけに、僕のフィジカルレベルでは、早めに決めないと敗退しそう。
ここは攻めの姿勢が大事だと、掌にテーピングを貼って止血してトライ。案の定雑なトライが続く。頭も体も熱くなる。
やっぱ気合が足らんのか!と、意味があるかどうか分からないけど上裸でトライ!
スイッチが入ったのか、何故か全てがうまくいき、右手のデッドも止まり、落ちたくない高さのリップでマントル。少しシビアだけど、難しいってほどのレベルでもない。
ヒールを結晶の凹凸にしっかり合わせ、問題なく左手返して右手も返して乗り込んだ瞬間!掌のテーピングが剥がれて左手がスリップ!ヒールの位置をしっかり決めていたおかげでなんとか落ちずに済んだ。左手を奥のホールドに伸ばし、そーっと乗り込んで右足乗せて、リップにへばり付いたテーピングを剥がして無事完登!
マジで怖かった!右足が乗るまで生きた心地がしなかった。でも、敗退が濃厚な状況での完登はすごくウレシイ!
IKM氏の観戦をしつつレストがてら岩場探索。多彩な形状のボルダーがあって、ボルダリングも楽しそうだけど、面白そうなルートやクラックもあるし、なんだかオラわくわくすっぞ。
デイドリーム。めちゃくちゃ悪そうだったなぁ。
大ハングに戻ってIKM氏のトライ!僕は右のカンテラインが気になり少しトライ。大ハングに繋げられたらかっこいいなー。カンテが軽く掃除してあったし、もう登られてるんだろうか?
最後に、もう一度リピート狙いで大ハングにトライ。するとなんの問題もなく一回でリップまで行けた。掌の出血もあるし、マントルは返さず降りた。さっきまでのトライはなんだったのか。フリクションが良くなったからなのか、リラックスできてたからなのか。単に慣れただけかも。まだまだよく分からない事が多いね。
今回良かったことは、自己暗示というか、自分で作り出したプレッシャーに打ち勝てたこと。やっぱり精神的な充実は不可欠ですね。反省点は、反射神経の低下も考慮して安全策をとること。まだまだこの遊びを続けたいので怪我は避けたい。
今度はロープとギアを持ってまた来たいなー。