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岩日記 1月6日

 今年はまじめにブログをやりたいな~と思ったのですが、イベントが盛りだくさんなわけでもないし、特に書きたいこともないしな~と悩みました。岩の事なら書けそうだけど、四段五段がポンポン登れるわけでもなし...。まあでも、田舎の中年ジムオーナーの奮闘記録でも、一人くらいは面白がってくれるかもと思い直し、岩日記もブログカテゴリーに追加し、「毎月2本以上アップ」を目標に(目標低っ)頑張りたいと思います。ものすごーくお暇で、もの好きな方はどうぞお付き合いくださいませ。


無休の年末年始をなんとか乗り切り久しぶりの休み、なんとか2時間だけ確保できて向かうは笠置山。今日の狙いは「レッドブル」。誰もがアプローチで目にする、とても見栄えする前傾壁。
1年半前に経験した、右肩の故障からの人生最大の腰痛。その前に少しだけ触ったことがあり、現在地点を測るにはもってこい。腰の動きも肩関節も完全に治ったわけではなく、未だムーブに制限はある。ただ、その間サボっていたわけでもない。出来ることはしてきたつもりだ。
今どき三段なんて珍しくもないし、元々が大したことないかもしれないけど、年齢的に「以前のパフォーマンスに戻せるのか?」とか「もう強くならないんじゃないか?」「前みたいに岩登りを楽しめないんじゃないか?」とか、色々と疑心暗鬼になるお年頃。結局、それらを振り払うには岩を登って確認するしかない。そう、これは仕事でもあるのだ!
今シーズン、他の課題を登った帰り際に数回さわって、全部ではないけどムーブはなんとなくバラしてある。以前触った時と違い、なんだか感触は良かった。反射神経は落ちた気がするけど、この2年は間違ってなかったのではないか。
僕にとってはシークエンスが重要な課題で、間違えるとうまく繋がらない。ムーブはばらしてあったので3・4トライほどでなんとなくは固まってきた。あとはホールディングだ。右手のピンチがうまく指にフィットしない。うーん、ムズイな。
さらに3・4トライほど。少しづつ指がピンチに慣れてきた。もうフックの解除では落ちないだろうという実感がある。「もしかしたら今日登れるかも」という期待とともに、少しガッカリする自分がいる。欲を言えば、目がその岩に、指がそのホールドに慣れる前に登りきりたかったなー。
カッコいいこと言っちゃった感があるけど、前情報や練習が少ない方が、より「岩を登っている」と感じられるのは、僕だけなのだろうか?とか言いつつ、フックの解除でポトポト落ちる(笑)自分の下手さに、つい手が足に出る。
今日は林道が凍っていて、アプローチに30分以上費やしてしまい、もうとっくに予定時間が過ぎている。カミさんの叱責を覚悟であと1トライ!を数トライ。子供達をスケートに連れて行くんだろう?と背徳を感じながらのボルダリング。でもこのままじゃ帰れない。せめて、高度が下がるまではマシンガントライする所存でございます。
極寒の中でアホみたいだけど、入魂と手汗を抑えるために上裸でトライ。正月で纏わりついた腹の駄肉と、少しの疲労を感じつつも、フック解除が上手くいき、左手をカチに送る。少し右手をしゃくり上げて持ち直し、核心のデッドポイント。取り先のガチャっとしたピンチを見上げた時に「少し左にいすぎだぞ。落ち着いて右に重心移動してからデッドだ!」と、頭の中で冷静な声。その通りに修正して心を決めてデッド!「おおっ!ギリ止まってるじゃん!」次のホールド感はわからないけど、さらに一手。これも止まった!岩の冷たさで指が悴む。「ホールド持ってる感ないぞ!降りるか?!」高鳴る鼓動が耳まで届く。「いや、今俺が持ってるのはガバなはずだ!次もガバだぞ!行け!」自分を鼓舞する。無理矢理落ち着かせて、悴んだ手で必死にガバを繋ぎ、やたらとスローに感じる足でなんとかマントルを返す。ヤバかったー!
いつも疑問に思うのは、自分の鼓動が岩に反射して聞こえるのだろうか?そんなハズないか。周りが静かすぎて耳まで伝わった振動が聞こえるのか。いずれにしても、核心のムーブをこなしてる時じゃない。自分の鼓動が聞こえる時こそ、僕は岩を登るって行為を納得できるんだよなぁ。
じゃあ、難しさは関係ないの?なんで岩登りなの?という疑問も湧いてくるけど、上手く答えられない。でも、こんな達成感は岩登り以外では味わったことはない。
でも何を隠そう、その日に一番緊張した瞬間は、凍った路面をサマータイヤの二駆で突っ込んだ時だ。脱輪しそうになった瞬間が最も鼓動音が大きかったです(笑)翌日、タイヤ交換したのは言うまでもない。サマータイヤで冬の笠置山はダメ、ゼッタイ。

カクカクしたタイヤ痕が僕のです。いや~、マジでビビった。こんなドキドキ、雪道以外で味わったことないぜ!